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三軒茶屋に「猫と助け合う」書店 保護猫が「店員」、生ビール提供も

店主の安村正也さん

店主の安村正也さん

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 三軒茶屋に書店「Cat's Meow Books(キャッツ・ミャウ・ブックス)」(世田谷区若林1、TEL 03-6326-3633)がオープンして3カ月がたった。

「店員猫」のキジトラ・鈴(メス1歳半)

 4匹の猫が「書店員」となり、「猫と書店が助け合う」をコンセプトに「世界ネコの日」である8月8日にオープンした同店。本は、保護猫をみとったエッセー「さよなら、ちょうじろう」、猫のSF短編アンソロジー「猫は宇宙で丸くなる」、登場人物の顔だけ猫のコミックエッセー「ミュージアムの女」など、猫が題材のものはもちろん、表紙や物語に猫が登場する本であれば新古品問わず取り扱う。

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 店内では、オリジナルグラスで提供するビール「水曜日のネコ」(500円)や「サッポロ生ビール」(大=600円、小=300円)、等々力で保護猫・保護犬のシェルターを運営する一般社団法人「LOVE&Co.」(等々力7)から仕入れたコーヒー(300円)などドリンクも提供。本と合わせ、売り上げの一部は同社団法人などの保護猫活動団体に寄付される。

 書店員は4匹の雌猫。おっとりした「鈴」(1歳半)、雄のようにやんちゃな「読太」(1歳半)、甘えん坊で食いしん坊の黒猫「さつき」(2~3歳)、茶白の賢いお姉さん猫「チョボ六」(2~3歳)。どの猫も里親を募集していた保護猫で、人なれしている猫を条件に探していた店主の安村正也さんが里親となり引き取った。「どの子も性格がバラバラで個性的。人になでられてもストレスを感じず、むしろ人が来た方が喜ぶくらい」と目尻を下げる。

 安村さんは会社員で、日中はオフィスで働き、帰宅してから店に立つ。昼間は妻の真澄さんが接客に当たる。「もともと『大好きな猫と本とビールに囲まれて余生を過ごしたい』と考えていた。昨今、ただの本屋では経営が厳しいが、看板猫がいたらお客さまが本を手に取ってくれるのではと思った。本屋の利益で殺処分される保護猫を助ける活動に寄付をする。社会的に弱いもの同士が助け合う店を目指した」と安村さん。自宅では親猫に育児放棄されてしまったところを保護した三郎(15歳・雄)と共に暮らしてきた。

 安村さんによれば、東京都では2016年度で500匹以上の猫が殺処分されているという。「昔に比べたら表面上の数字は減少したが、それは保健所の引き取りの条件が厳しくなったから。今は『引っ越しで猫が飼えなくなった』などの理由では受け入れてもらえず、保護団体が引き取っているだけ。里親が見つからない保護猫は減っていないという現状がある」と表情を曇らせる。

 書店は自宅兼店舗。本棚は猫が自由に移動できるキャットウオークにもなっており、2階の自宅とつながっている。「猫が外を見られるように窓が多い家を探していた。閑静な住宅街だが、世田谷に住む方の客層がコンセプトにマッチすると思ったし、ふらっと寄るというより、共感してくれる方が目指して来てくれるような場所であると割り切って契約した」という。

 この3カ月を振り返り「オープン当初は話題となってたくさんのお客さまが来てくださったが、なかなか本の売り上げにつながらなかった。当初に比べると客数は減ったが本の売り上げは伸びている」と安村さん。「コンセプトに共感して本を購入してくださる方が増え、猫を目的に来店した方も『こんなにたくさんの猫にまつわる本があるのか』と興味を示して購入してくれる。本は購入しないが会社帰りにビールを飲みに来る常連客もついた」という。

 うれしい誤算もあった。同店では猫に関する本の買い取りも行っているが、「多くの方が『買い取りは結構。猫の保護活動の足しになれば』と寄付をしてくださる」という。客同士は猫を共通点に会話が弾む。「犬好きの人は飼い犬と犬種に嗜好(しこう)が偏ることが多いが、猫好きの人は飼い猫も含め猫自体が好きなことが多い。猫を媒介してコミュニティーができればうれしい」

 今後については「面積的にビブリオバトルなどのイベント集客にも限界があるため、もっと自分が店の外に出て行ってアピールすることが必要」と課題を明かす。「三軒茶屋はどんどん本屋が減っている。近隣住民からは『本屋がないと文化が・・・』と憂う声も多く聞く。本屋の火を消さないように二足のわらじで頑張るので、応援してほしい」と呼び掛ける。

 営業時間は14時~22時。12月から火曜定休。

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