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三茶・生活工房で「福島に出会う」展覧会-650枚超の写真展示

写真:小山さん 震災前七ヶ宿ダム湖の上で風を感じる兄弟

写真:小山さん 震災前七ヶ宿ダム湖の上で風を感じる兄弟

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 三軒茶屋・キャロットタワー(世田谷区太子堂4)内の「生活工房」(TEL 03-5432-1543)で現在、展覧会「写真とことば、記憶の種 福島-東京」が開かれている。

展示会場の様子。

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 福島県に住んでいる人や住んでいた人が撮影した「日常」の写真を、詩と共に展示する同展。詩は詩人、学者のほか、撮影者とは別の地域に暮らす一般が聞き取りを行い添えられた。写真は、詩と共に展示する18点をメーンに、提供された写真や、写真家による作品など計650点以上に及ぶ。

 「震災後『村で撮りためた写真を皆さんに見てもらいたい』と話す福島県飯舘村の安斎徹さんに出会ったことをきっかけにして同展の構想がスタートした。特別な知識は必要なく、受け取ったもの、感じた自分の心に耳を澄ましてもらえるような展示会にしていきたい」と同展ディレクターでNPO法人「こえとことばとこころの部屋 東北プロジェクト/ふくしまのいどばたから 写真展実行委員会」の原田麻以さん。

 同展会期中にはワークショップ、トークセッション、シンポジウムなどさまざまなイベントが行われている。5月25日に行われたトークセッション「今、出逢いたい」では、飯舘村から避難を余儀なくされた人、今も福島に暮らす人、写真家、詩人、文化人類学者、政治社会学者など、さまざまな視点から福島にまつわる話が繰り広げられた。

 安斎さんと政治社会学者の栗原彬さんのトークセッションでは、飯舘村を中心とした写真を見ながら、地元住民の生活や声、村の過去と現在の様子などが紹介された。参加者の中には小さな子供を育てるお母さんの姿も見られた。震災前の村の写真を見ながら「震災前、ここはとてもにぎわっていた。今ではガランとしており、人が帰ってくるのを待っているようだ」という安斎さんの言葉に真剣に耳を傾ける参加者が目立った。

 5月31日には、シンポジウム「みんな<なんみん>になるとき」を開催。ラジオ番組「難民ナウ!」代表の宗田勝也さんと写真を提供した岡本さん、栗原さんが、「難民」をキーワードにさまざまな視点から命のあり方を考えていく。参加費は300円(お茶付き)で、定員は当日先着50人。詳細は生活工房のホームページで確認できる。

 広報担当の竹田さんは「福島の写真展というと、『津波やがれき、除染作業の写真ですか?』と聞かれる。しかし当展では、福島という大きな単位ではなく、そこに暮らしている一人一人の生活、生きざま、命ともいえるものを、その人たちが大切にしている日常の写真と言葉を展示している。大きな声にかき消されてしまっている一人一人の市民の声に耳を傾けていただければ」と来場を呼び掛ける。

 開催時間は11時~19時。入場無料。6月8日まで。

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