松陰神社（世田谷区若林4）と松陰神社通り商店街で10月22日、「幕末維新祭り」が始まった。さわやかな秋晴れには恵まれなかったものの、大勢の来場者でにぎわっている。23日まで。

多くの屋台が出店する松陰神社内の様子

　幕末の思想家で、私塾「松下村塾」を率いた吉田松陰を祭る松陰神社を中心に、商店街周辺ではさまざまなイベントが行われている。今年で25回目。

　神社本殿前では11時30分よりオープニングセレモニーが行われ、主催した松陰神社通り松栄会商店街振興組合の理事長で、維新祭りの佐藤勝実行委員長があいさつに立った。佐藤さんはまず、世田谷区とともに同祭を後援する山口県萩市との1991年から始まるエピソードについて触れ、「『世田谷に小さな萩をつくりませんか』というところから交流が始まった。今では、大きな萩が世田谷に根付いている」と述べた。続けて、佐藤さんは幕末動乱期を描いた2015年放送のNHK大河ドラマ「花燃ゆ」の影響についても説明。「昨年の来場者は5万人で、年々増えている。名実ともに『世田谷三大祭り』と呼べるぐらいに成長した。（吉田）松陰先生に負けないよう、来年再来年と続けていきたい」と抱負を語った。

　その後、保坂展人世田谷区長を挟み、野村興児萩市長があいさつ。松下村塾について、野村市長は「非常に多面性を持っていた。ある人は政治塾といい、またある人は教育を重視した塾という」とし、日本の近代化における吉田松陰の多大な貢献について、歴史を交えて説明した。最後に、国の登録有形文化財の指定を受けた「明倫小学校」を改修した施設「萩・明倫学舎」が、同市内に2017年3月オープンすることをPRした。その後に行われた鏡割りでは、セレモニー参加者に日本酒を振る舞ったほか、地元・国士舘大学の吹奏楽部がディズニー映画「アラジン」で知られるバラード曲「ホール・ニュー・ワールド」など2曲を披露するなどした。

　セレモニーは12時15分過ぎに終了し、スタート時はまばらだった会場も、このころには親子連れを中心とした来場者でにぎわった。境内にはさまざまな屋台が並び、入り口付近には幕末ファンに向けた書籍販売所も設けられた。

　商店街でも各店が路上販売を行い、神社同様の盛り上がりを見せていた。商店街内の資料館「松下村塾學び館」の運営スタッフは、「イベントの行われない普通の週末にも、松陰神社を訪れる人が増えている」と話していた。

　22日18時からは本殿前でジャズのビッグバンド演奏が、23日13時からは「奇兵隊パレード」が行われ、世田谷区役所をスタートし神社や商店街周辺を練り歩く。