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駒沢「向井潤吉アトリエ館」が20周年-記念展が最終章へ

作品「宿雪の峡」1983(昭和58)年。長野県の山郷の冬景色

作品「宿雪の峡」1983(昭和58)年。長野県の山郷の冬景色

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 世田谷美術館分館「向井潤吉アトリエ館」(世田谷区弦巻2、TEL03-5450-9581)が昨年開館20年を迎えたことを機に同館で現在、記念展覧会「向井潤吉と四季『冬』」が開催されている。

向井潤吉が1982年に世田谷区名誉区民賞となったときの写真。

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 日本の四季をテーマに展開する同展。現在、開催中の最終章となる第3期展「冬」では、戦前に滞欧しルーヴルで模写に励んだ向井潤吉が戦後、「民家の画家」として活躍してからの作品を中心に展示している。展示品約40点の大半は向井潤吉が現場で描いたもので、生誕地の京都を始め、北は北海道から南は鹿児島まで、日本各地の冬景色を作品と共に巡ることができる。

 早描き・現場主義の画家として知られる向井潤吉(1901-1993)は、戦争体験から日本の民家の美しさを発見し、高度経済成長とともに消えていくかやぶきの民家を追い求めてきた。今から80年前に世田谷区弦巻に居を構え、生前、家族と住んでいた住居兼アトリエを美術館に改装し、600余点の作品とともに世田谷区に寄贈。その後、1993年に世田谷美術館の分館として向井潤吉アトリエ館が開館した。

 アトリエ館は木造建築で名をはせた、佐藤秀による木造2階建て造りとなっており、東北から移築した工蔵も展示室として生かされている。吹き抜けを多用した開放的な空間には、向井潤吉が愛用した調度品が多く飾られ、向井潤吉の生活観・美学が深く浸透したものとなっている。

同館のコレクション数は800点にも及び、第3期展「冬」では、弦巻の蛇崩川周辺を描いた作品『新雪』を展示。「西欧では『病んだ自然』として、モチーフにほとんど取り上げられることがなかった雪景色を、新雪・春雪・残雪と巧みに描き分けた向井潤吉さんの筆さばきは見どころの一つ」と広報担当の遠藤さん。

 今月15日には、「向井潤吉と四季」をテーマに世田谷美術館学芸員が作品の魅力について話すギャラリートークショーを予定。

 開館時間は10時~18時(入館は17時30分まで)。月曜休館。観覧料は一般200円ほか。3月21日まで。 

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